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反応染料の短時間除去洗浄技術

   
1. 緒言

反応性染料は、 セルローズ繊維の染色捺染に最も広く適用されている染料であり、 一般品から複雑な防、 抜染加工による高技術商品に至る迄、 現今多量に市場に出回っている。

反応性染料の使用に当っては、 基礎的な技術から複雑な応用技術に至る迄、 更に生産管理、 制御工学から廃水処理技術に至る迄、 長年月をかけて生産技術の確立と種々広汎なる研究報告が行なわれて来たのである。

本稿で取上げるのは、 全工程の中の一部分であるソーピング・プロセスについてであるが、 これは他の種属グループ染料と比較して最も複雑な要因を多く含むものである。

反応性染料の持つ反応基は1官能~多官能性と種類も多く、 その化学構造も違う。 そのため反応率も(大)(中)(小)と変化する。

ただ共通していることは、 セルローズ繊維に、 100%反応しないという事実である。 染色、 捺染蒸熱後、 繊維中には次の(a)~(c)の3成分の染料がかなりの比率で含まれる。

(a)結合反応した反応性染料

(b)不活性の未固着染料

(c)水、アルカリ(酸)による加水分解染料

これらは、 pH の高低、 温度、 時間の長短で加促されるため、 その全体を完全に除去するのが、 反応性染料のソーピングである。

高温アルカリの染色浴の他、 洗浄浴中でも dye-fiber 結合が切れて加水分解染料が生成する。

この成分は相当強い親和力を持つため再付着吸収、 吸着が起こることになる。

そしてこの親和力の強い(b)(c)を完全に除去するのが非常に困難であるため問題が起るのである。

洗浄が不充分であると、 色移り、 白場汚染、 再付着が起り、 優れた湿潤、 洗濯堅牢度が得られない。

この様に反応性染料の洗浄は、 強力に脱落除去させることと、 再吸着汚染防止させることの両方のバランスを取りながらの洗浄性が重要な課題となっているのである。

2. 最近の研究動向

反応性染料の洗浄に対する欧米の研究は最近でも常に活発であり、 その傾向としては、 現場生産行程に添って装置もシミュレーション化し、 各槽での染料ハキ出し(wash out)量の解析を行なう方法が共通している。

染色、 捺染蒸熱後のホット~コールド・リンスの温度、 時間のかけ方、 加工速度、 浴比による染料除去率の測定等も比較的多いのが特長である。

これは多分に最近の重要な課題である以下の項目、 例えば、 

1) 水、 エネルギー、 時間、 の低減・節約。
2) 行程、 操作の合理化、 簡略化 (ex,小浴比短時間洗浄)。
3) 管理システムの標準化、 コストダウン。
4) 廃水処理量の減少、 管理、 と環境保護の適正化。

等を根底にして、 合理的な大規模洗浄を科学的にコントロールする必要性から出発しているのである。 いくつかの例を列挙すれば、

1官能性と2官能性の染料の連続ソーパーでの温度差による wash-off 性の相違(1)(4)

未固着染料、 加水分解染料の wash-off では、 特に高親和力の場合、 高温リンスが最も効果的で、 パッケージ染色後のリンスと washing の最適化をパラメーター表示し、 温度による効果の増減、 pH、 塩濃度、 流量比の関係を測定している(3)

Aspland(2)は、 未固着染料と加水分解染料に対する除去温度、 適切条件の設定において、 高親和力の成分除去にはホット・リンスから始めることが良いが、 逆に色相消色、 きびしい温度条件や pH の高と低では、 加水分解が起ることを指摘している。

Thomsen(5)も、 高親和性加水分解染料成分のハキ出される総量の内、 高温95℃~70℃のリンスで、 50%以上が除去されることをグラフ表示している。

G.L.Bhalla(6)はソーピング等でのアルカリ加水分解を求核置換反応のSN2メカニズムで表示し、 染料の転位状態、 部分結合の説明を行っている。

小谷(7)は、 最適洗浄条件の設定と、 白場汚染防止を兼ねたソーピング剤の適切な応用技術について記述している。

以上の様に最近の研究では、 温度の適切な応用に重点を置いたものが多い。

3. 反応性染料のソーピング剤に必要な性能と性質

反応性染料のソーピングの本来の目的は、 

●未固着染料の除去
●加水分解染料成分の除去

である。 脱落だけを重点におくならば高温度適用も重要であるが、 脱落染料が、 糸布の内部へ拡散、 浸透、 再吸着が起り、 逆効果 (汚染) を来たすことが多い。

又、 捺染色糊の場合、 染料濃度が濃厚、 糊材の付着量も大なるため短時間で完全洗浄を行なうことは容易ではない。 この様な理由から、 ホット、 コールドリンスの区別なく、 条件の相違に左右されずに、 再付着、 白場汚染を防止しながら、 小浴比中、 短時間で強力に脱落、 洗浄除去を行なうため、 専用の最も有効なソーピング剤を適用するのが合理的であると考えられている。

現在迄に発表されたこの目的の洗浄剤化学構造は非常に数多いが、 単一構造だけでは、 これら諸条件を満足させることは極めて困難である。 界面活性剤を基本として考えることは当然であるが、 少し範囲を広げて、 興味ある代表的構造を参考迄に、 第1図にまとめ列挙する。

 

ソーピング剤構造例の表
               第1図 ソーピング剤構造例
 

4. 反応性染料用ソーピング剤 「クインソープ」(EMILL)について

適切な反応性染料用ソーピング剤を設計するに当たり、

●水質、 硬度に影響されないこと。
●洗浄効果が、 温度に大きく左右されない、 かつ低温でも充分な洗浄効果を発揮すること。
●染料を引き出す親和性、 加水分解染料成分と付加化合物を形成する性能は好ましいが、 繊維にはいかなる親和力も示さないこと。
●洗浄後の変色を来たさないこと。
●脱落染料の拡散性、 分散性、 溶解性を促進させ、 水温、 布の機械的移動、 流速、 撹拌、 絞り回数、 リンス回数等の補助作用を利用することにより、 更に脱落し易い状態にさせ得ること。
以上のような点を前提として、
●短時間での強力な脱落洗浄力
●小浴比における充分な洗浄効果
●脱落染料の再汚染・再付着防止
●洗浄後のリンス回数の低減 (すすぎ易さ)
●起泡性 (低泡~無泡性)
等の各項目に重点を置いて開発したものが、 「クインソープ」 (EMILL)である。

「クインソープ」 (EMILL)は、 その性能別に大きく(A)~(D)の4つのグループに分類され、 それぞれ下記の特長を有した高性能商品である。

(A)グループ
脱落除去性の他に、 脱落染料の再汚染・再付着を特に強力に防止する性能を有する。
捺染物に適する白場汚染防止洗浄剤で、 安価汎用タイプである。
G-170, G-100, G-50
(B)グループ
優れた脱落洗浄力と、 汚染部分の除去性が良い、 コンク品のタイプ。
2Gconc, 2Gconc new, BZconc
(C)グループ
脱落除去性と、 脱落染料の再汚染・再付着を防止する性能をバランス良く有し、 ((A)と(D)の性能) 最も一般的に使用される安価・汎用タイプ。
R-60, YK, 2G
(D)グループ
強力な脱落洗浄力と、 再汚染・再付着防止性能を有する。 特に汚染部分の除去性に優れた効果を発揮する。
5Gconc・SK-D…濃色捺染物にも適する。
G-A…濃色染色物 (Black など) に適する。
 

第1表にこれらの性能・用途・その他の特長等をまとめて示す。

第1表 クインソープ(EMILL)グループの特長・性能・使用法
表1

 

次に具体的に使用結果のデーターを記述すると、

第2図は、 ポリエステル/綿交織布 (ボーダー柄) を、 Reactive 黒 (VS 型) で綿側のみ染色した際、 ポリエステル側は白残しできずある程度汚染してしまう。 この片サイド染色物を60℃・75℃・90℃でソーピングした後、 綿側に付着している未固着染料と、 ポリエステル側に汚染している反応性染料の量を測定しグラフに示した。

 

第2図 - ポリエステル/綿交織布の反応性染料による片サイド染色布を
各洗浄法でソーピングした後の両サイドの汚染状況

図2

 

②はソーピング剤を使用していない。 90℃の高温洗浄により、 綿側の未固着染料は半分以上除去できるが、 ポリエステル側の汚染はほとんど除去不能である。

③④は他社ソーピング剤を使用。 ポリエステル汚染部の除去は不完全で、 STPP (トリポリリン酸ソーダ) を併用しても効果は向上しなかった。

⑤⑥はクインソープ SK-D を使用。 75℃以上のソーピングで両繊維上の汚染染料を非常に効率良く脱落洗浄することができた。 STPP の併用により更に効果が向上しており、 STPP が有効に作用していることがわかる。

第3図は、 反応性染料で染色した綿布を、 各ソーピング剤を使用し60℃・75℃・90℃で洗浄した際の、 汚染防止効果と洗濯堅牢度を比較した結果である。

第3図- 綿:反応性染料染色布を各洗浄法でソーピングし、
ソーピング時の汚染防止効果とソーピング後の洗濯堅牢度を比較
図3

 

 

試験方法は、 綿100%ニット布を C.I.Reactive Red120で染色後、 水・湯洗を省略し、 直接ソーピングする。 白場汚染防止テストは、 ソーピング浴に白布を一緒に入れ、 白布への色移りを測定。 洗濯堅牢度テストは、 染色布だけをソーピング→乾燥後、 白布を添付し、 ラウンダオメーター JIS A-4法にて、添布白布への色移りを測定する。
②は脱落力・汚染防止力共、 ある程度バランスが取れている一般タイプ。
③は脱落力が無い為、 白場汚染はしないが、 堅牢度は極めて劣るタイプ。
④は脱落力は強いが、 汚染防止効果が悪いタイプ。 その結果、 染料の再付着が大となり、 堅牢度が劣る。
この様に、 ソーピング剤の種類により効果は種々変動する。⑤のクインソープ G-170は0.5g/Lの低濃度で、 白場汚染防止効果・洗濯堅牢度共、 非常に優れた結果を示している。

   
染色、ソーピング終了布の堅牢度チェック(染料のブリ―ド試験)
 
 
他社品
2g/L
 
クインソープ
5G conc
1g/ L
   
試験方法

綿布をCI Reactive Black 5で染色
       ↓
80℃×10分ソーピング後、乾燥
       ↓
ソーピング後の染色布と綿白布をたてに縫いあわせる(短冊状)
       ↓
染色布の下端を非イオン活性剤0.5g/L液に浸し、20℃×10分放置
       ↓
染色布の残留未固着反応染料が、白布にブリードする程度を判定する
 
 
5.結語
反応性染料の染色、 捺染物の効果的な洗浄、 特に親和性の高い未固着染料、 水による加水分解染料の脱落除去洗浄に対する、"クインソープ"(EMILL) の洗浄性能効果の例をここにいくつか記述した。 使用染料の種類 (固着率、 親和力の差)、 被染物の濃度差 (濃~淡)、 染色物とプリント物、 洗浄装置スタイルの差、 浴比、 温度時間、 (洗浄とその前後のリンス) によって、 洗浄効率は大きく変動するため、 これら諸条件に余り影響されず統一された結果を生むことの出来る"洗浄剤効果"を中心に取り上げた。

反応性染料は今後益々大量に使用される状況にあるため、 ソーピング剤の用途別の適切な選定を充分検討されるよう、 期待するものである。
 
引用文献
(1) Luttringe ; Tex chemist, col 25 (5) 27 (1993)
(2) Aspland ; Tex chemist & col 24 (5) 36 (1992)
(3) Technical paper ; Tex chemist & col 23 (Nö11) 21 (1991) 23 (Nö1) 13 (1991)
(4) Luttringer ; Textilveredlung 25 (Nö10) 313 (1990)
(5) Thomsen ; Mell Textilber 75,220, 3/1994
(6) G. L. Bhalla ; Am Dyestuff Repter 81, (Nö7) 38 (1992)
(7) 小谷 : 繊維加工誌 ; 46 (Nö13) 693 (1994)
(8) CA 115 (18) 185801w
(9) CA 121 (22) 258574k
(10) CA 98 (10) 74296w
(11) CA 93 (4) 27692j
(12) CA 109 (26) 232705f
(13) CA 114 (26) 249244f
(14) CA 90 (26) 206270e
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